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未払い賃金請求、最長5年

厚生労働省は働き手が企業に対し、未払い賃金の支払いを請求できる期間を延長する方針だ。労働基準法は過去2年にさかのぼって請求できるとしているが、最長5年を軸に調整する。 サービス残業を減らし、長時間労働の抑制につなげる狙いだが、企業の負担を増やす面もある。厚労省は専門家や労使の意見を幅広く聞いて結論を出すことにしている。
厚労省は年内に民法や労働法の学識経験者らによる検討会を設置。 そこでの議論を踏まえ、来年夏をメドに労働政策審議会(厚労相の諮問機関)で労使を交えた具体的な時効の議論を進める。 法改正が必要となれば、2019年に法案を国会に提出し、20年にも施行することにしている。
(日本経済新聞 11月19日)

こうした措置を検討せざるをえないほど賃金の未払いが横行しているのだが、社員が未払い分を請求すれば左遷や、退職に追い込まれかねない。多くは泣き寝入りである。会社側も時間の経過とともに、社員の請求意欲が低下していくこと見越して放置しているのだ。

未払いは債務不履行であることを認識せざるをえない法的措置を講じない限り、この問題はなくならない。
請求できる期間を2年から5年に延長する措置には一定の効果を期待できるが、企業にとっては、求期間の延長措置よりも、遅延金の加算を義務付けたほうが負担感は増える。かりに会社に支払い原資が不足しているのなら、代表者の個人資産を充当させるなど“未払い逃げ”を阻止する方策も検討したほしい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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