Talk Genius

人と会社と組織を考えるニュースマガジン

出世遅れ転籍もできず 割を食う団塊ジュニア

年功序列の賃金体系が崩れ、今の日本企業では長年働く社員ほど賃金が伸びにくくなっている。転機を迎えているのは40代。バブル期に採用された多くの先輩に阻まれて出世が遅れ、賃金も上がらない。人口構成から「賃金が増えない社員」の比率が上がってきたことが、統計上の賃金が伸びない一因になっている。
 
「バブル世代が上に詰まっている。ポストが空かない」。都内のメガバンクに勤める男性がこうこぼす。1970年代に前半にうまれた「団塊ジュニア」は今、40代半ば。かつては仕事に脂が乗ると言われた世代の多くが、今は「ずっとヒラ社員」の危機にある。
 
大和総研によると、2016年に40代で部長に就いている人の割合は2・5%、課長は11・2%。この比率は00年代後半から低下が目立ち、10年前より部長が1・6ポイント、課長は2・6ポイント下がった。
(日本経済新聞 11月2日)

団塊ジュニア世代には就職氷河期に学業を終え、非正規労働者になってキャリアを形成できないまま40代に入った人たちも多い。正社員としてキャリアを積んでも出世ができないとは、いかにも不運な世代である。

この世代の処遇は難題だが、不自然にポストを増やしたり、バブル世代に早期退職を迫ったりして調整するよりも、賃上げで割り切ってもらう以外にないだろう。役職給を組み込めない分、能力給や調整給による増額である。
 
だが、賃上げでは満足せず、「〇〇長」と「長」の付く役職や、他人の上に立つことを切望する社員も少なくない。出世志向はエネルギーの現われなので、これ自体否定されるべきものではないが、過剰になると周囲から忌避されていく。虚栄心が見え透いてしまうと哀れですらある。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

この著者の記事を全て見る

Talk Geniusとは-

ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。