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残業時間 過少申告7% 連合総研調査

9月に残業時間を実際より短く申告した会社員は全体の約7%だったことが1日、連合系のシンクタンク、連合総合生活開発研究所(連合総研)の調査で分かった。過少申告による残業代の不払いは労働基準法違反にあたる可能性がある。
 
調査は10月上旬、首都圏や関西圏で民間企業に勤める20~64歳の会社員2千人を対象に、インターネットでのアンケート形式で行われ、全員が回答した。
 
残業時間を過少に申告したと回答したのは、149人。「残業時間をそのとおりに申告しなかった理由」を質問したところ、約20%が「上司から調整するように言われた」、約70%は「自分自身で(時間を)調整した」と回答した。
 
2015年に過労自殺した電通の新入社員が残業時間を過少申告していたことを受け、厚生労働省は社員の自己申告と実際の労働時間がかけ離れていないか実態調査をするように企業に求めている。
(日本経済新聞 11月1日)

職場が残業時間の削減に着手したところで、勤務時間の過少申告が横行すれば、いっこうに事態は改善しない。長時間労働撲滅の次は、過少申告の撲滅が課題になるのだろうか。この問題は本人の裁量に左右されるので、なかなか特定できず、職場の病巣にもなりかねない。

タイムカードに手書きで記入していた時代には、上司が修正して、残業手当が増加しないように偽装する企業も珍しくなかった。正直に記入すると、管理能力を問われかねないと危惧した上司に怒られるという理不尽な場面も散見された。

連合総研の調査は、この旧弊がいっこうに改まっていないことを示している。滑稽なようだが、過少申告の撲滅を周知徹底させる世論の喚起も必要なようだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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