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柳井氏、会長専念2年後に

ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長(68)は20日、70歳となる2年後をメドに社長職を譲る考えを明らかにした。会長職に専念し、経営を「監督」する立場で会社に関わり続ける。新社長は外部から招くのではなく、執行役員など内部から選ぶとしている。世界一の衣料品会社を目指している柳井氏。今後2年で経営を任せられる後継者を育成できるかが最大の課題となる。
柳井氏は日本経済新聞社とのインタビューで「実際の経営は若い人がしないといけない」と語った。(中略)その一環として、サクセッションプラン(後継者育成計画)作りにも本格的に着手している。
後継者について柳井氏は「今の執行役員の中から一番ふさわしい人が最高経営責任者(CEO)になる」と説明。外部人材の登用の可能性を否定した。海外戦略やデジタル化など注力する分野で成果を残した人が次期社長候補に浮上するとみられる。
(中略)
自身はその際に企業統治面(ガバナンス)を担うと述べ、「会長職で今の仕事は将来こういうふうにした方がよい」などとアドバイスする立場を想定している。一方で、「創業者に引退はない」と強調。会長職に就いた後も引き続き会社に関わっていく考えを示した。
(日本経済新聞 10月21日)

柳井正氏がこの記事で「創業者に引退はない」と語っている本心は何だろうか。取材では話しているのかもしれないが、柳井氏が引退した途端に会社が失速しかねないという懸念はあるだろう。

このレベルの創業経営者は、欲望のサイズが常人とは根本的が違う。モノサシが違うのである。欲望とはたんなる野望ではなく、責任欲も含まれる。社員、顧客、取引先、株主などに対する責任である。常人のモノサシでは推し量れない奥底の深さだが、おそらく厚生労働省は微笑ましく見つめているのではないか。
年金の支払い開始年齢の引き延ばしや、健康寿命の延伸にとって、現役高齢者が増えることほど望ましい現象はない。現役高齢者は元気高齢者でもある。社会参加と健康の相関関係はさまざまな調査で明らかになっている。

いずれ国は75歳まで働く社会像を提示するに違いない。その社会では老後が充実するのか、それとも死まで働くという苦行を強いられるのか――。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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