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20代大卒女性が「活躍」より「家族との時間」を求めるのはなぜか

「2020年までに女性管理職比率を30%に」を合言葉に、政府が旗をふる「女性活躍推進」。しかし、「活躍予備軍」であるはずの20代大卒女性からはこんな声が漏れてくる。「普通に働きたい」「『活躍』より『家族との時間』が大事」。男女雇用機会均等法施行から30年あまり。

社会全体が活躍を後押ししようとする中、彼女たちの心が動かないのはなぜなのか。
 
かつて短大卒の女性に人気だった「一般職」が、大卒女性の憧れになっている――。そんな話を数年前からよく耳にするようになった。会社の基幹的な業務を担い、将来は管理職になることが期待される「総合職」に対し、総合職のサポートをするのが「一般職」。

関西の難関私立大の一つを卒業し、今年4月、大手生命保険会社に就職した女性(23)が選んだのも一般職だ。

「総合職としてキャリアを積んで管理職になりたいとは、全然考えませんでした」
(Yahoo!ニュース 9月27日)

この記事はライター・石臥薫子氏が丹念な取材を重ねて書き、女性が総合職を選んで昇進・昇格をつづけるには、転勤や残業が家庭生活との両立を妨げてしまう現実がリアルに理解できる。
 
総合職は旧来型の男性の論理で組み立てられた土俵で女性が働く制度で、そもそも家事との両立は視野に入っていなかった。仕事を選ぶか、家庭を選ぶかという二者択一のようなキャリア設計を強いられる状況がつづき、大卒女子が一般職を望むようになっているという。性差の解消が、揺り戻しのような現象を発生させている。
 
ワークライフバランスを重視する時世になったことも、総合職を避ける要因のひとつではないのか。

仮に大卒男子にも一般職を適用したら、少なからず希望する学生も現われるだろう。男女同権なら、大卒の男性一般職を設けても不自然ではない。昇進・昇格の機会を与えられなくとも、転勤と残業を回避できれば、そのほうがよいと考える男子学生が続出したら、働き方改革のあり方に一石を投ずるはずだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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