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非正規にも退職金 ドトール、人手不足に対応

ドトールコーヒーは9月、非正規従業員向けの退職金制度を導入した。社会保険に加入し、週30時間以上勤務する従業員が対象。非正規を対象に退職金を導入するケースはまだ珍しいが、飲食業での人手不足は深刻さを増している。正社員と同様に長時間働く非正規従業員の待遇改善で、長く働き続けてもらう。
 
非正規従業員7千人のうち、当初の対象者は約330人。直営店や工場、本社などに勤務する従業員を対象とし、フランチャイズ店のオーナーにも利用を呼びかける。現在の勤続年数は問わない。非正規から正社員に転換した場合は、解約して一時金として受け取るか、別の正社員向け制度に引き継ぐ。
 
ドトールは、オリックスが提供する確定給付型の企業年金基金を活用する。ドトールが毎月100円を掛け金として積み立て、従業員も月給の10%以内で、1000円から2万円までで毎月積み立てられるようにする。月8千円を10年間積み立てると、退職時に約105万円を受け取れる計算になるという。
(日本経済新聞 9月26日)

就業規則に退職金規定が明記されていても、会社の資金繰りが悪化していれば減額されるし、未払いのケースも少なくない。あるいは会社が中小企業向けの退職金共済に積み立てていても、解約して資金繰りに充当してしまう経営者もいるという。

最近では退職金規定を設けない会社も増えてきた。終身雇用終焉とともに、昔のように退職金をアテにして忍従の日々を送る若手社員も減少し、キャリアプランに合わない会社ならさっさと退職してしまう。退職金に重みがなくなったのである。

そのなかで、ドトールコーヒーが非正規従業員にも退職金を支給することは、非正規従業員の確保策が新たな段階に入った予兆ともいえる。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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