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<福岡労働局>ヤマト運輸を書類送検 残業代未払いで

福岡労働局は20日、宅配最大手のヤマト運輸が博多北支店(福岡市)の配達員に残業代の一部を支払っていなかったとして、同社と同支店の幹部2人を労働基準法違反容疑で福岡地検に書類送検した。労働局側は同社のサービス残業をこれまで複数回是正勧告したが改善がみられず、刑事事件化に踏み切った。サービス残業を巡って同社が書類送検されるのは全国初。
 
送検容疑は、昨年6月16日~7月15日の間、配達員2人に残業代の一部計約15万円を支払わなかったなどとしている。ヤマト運輸は「送検された内容は事実」としている。
 
福岡労働局によると、ここ数年間にヤマト運輸は福岡地区で博多北支店を含む複数の支店でサービス残業が数回発覚し、是正勧告をした。その後、改めて昨年9月に同支店などを立ち入り調査したところ、トラックへの荷物の積み込みや、配達後の伝票整理などが労働時間に含まれていないなど改善されていないことが確認された。
(毎日新聞 9月20日)

労働基準監督署が指導力を発揮するには、是正勧告に従わない企業に法的措置を取る以外にない。複数回の是正勧告に従わないのは、まずもって確信犯である。福岡労働局もそれが手に取るようにわかり、堪忍袋の緒が切れたのだろう。

所轄の当局は平時には事なかれ主義に見えても、行政責任が問われかねない事態に至ると、途端に権限を行使する。民間企業はこの現実を重く受け止めたほうがよい。

たぶんヤマト運輸では、法務担当者が軽んじられているのではないか。同社の社内事情はわからないが、保冷違反に対して法務担当者が指摘しても、経営陣が一顧だにせず、むしろ法務担当者を“収益圧迫分子”にも見なしかねない企業は少なくない。
 
おのずと法務担当者は経営陣の意向を忖度し、違法行為を看過するようになっていき、当局の点火してしまうのである。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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