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最長で月197時間残業…企業名公表の運送会社、愛知労働局

厚生労働省愛知労働局は4日、最長で1カ月当たり約197時間の違法な長時間労働を複数の事業所でさせ、2月の是正指導後も労働状況が改善しなかったとして、名古屋市の運送会社「大宝運輸」の社名を公表した。
 
同労働局によると、昨年12月~今年2月の立ち入り調査で、2事業所の計54人が80時間を超える残業をし、うち50人で100時間超を確認。最長のケースで約197時間に上った。7月の立ち入り調査でも最長約134時間の従業員がおり、30人が80時間超で、うち24人が100時間を超えていたことから再度、是正指導した。
 
企業名公表は平成27年に始まり、当初は「月100時間超」の違法な残業が、複数の事業所で10人以上確認された場合などを対象としていたが、電通の違法残業事件などを受け「月80時間超」に引き下げるなど基準を拡大した。公表は2件目で、政府の働き方改革に伴う1月の対象拡大後では初めて。
 
大宝運輸の小笠原忍社長は4日、名古屋市内で記者会見し「謹んでおわびする。重大な法律違反を起こしたことを反省し、経営の最優先課題として改善に取り組む」と話した。
(産経WEST 9月4日)

とうとう厚生労働省も堪忍袋の緒が切れた。労働基準法の遵守の周知徹底を図ろうとしても、企業が(労基法に従っていては利益を確保できない)と言わんばかりの姿勢をつづけていては、確信犯とみなして強硬措置に移行せざるをえない。行政官のメンツもあるだろう。
 
労基法の遵守に性善説は通用しない。労働基準監督署の人員を強化して、不正企業をどんどん摘発しないと、長時間労働問題は解消に向かわない。
 
それにしても大宝運輸の小笠原社長は、記者会見での謝罪を全社員に対しても行なったのかどうか。労務管理に関する不祥事で真っ先に謝罪すべき対象は、世間ではなく、被害者である社員である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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