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アリさんの「不当労働行為」、都労委が認定…全従業員に「反省」の社内報送付命じる

東京都労働委員会は8月23日、「アリさんマーク」で知られる引越社のグループ会社「引越社関東」に対して、労働組合との団体交渉に「誠実に応じなければならない」とする命令書を交付した。同社の従業員が加入する労働組合プレカリアートユニオンが、不当労働行為の救済を申し立てていた。
 
命令の内容は、(1)引越社は組合からの脱退を勧奨してはならない、(2)引越社関東は、組合との団体交渉に誠実に応じなければならない、(3)引越社・引越社関東・引越社関西は、組合員の懲戒解雇理由を「罪状」と記載したことが不当労働行為と認定されたこと、二度と繰り返さないことを社内報に掲載したうえで、全従業員の自宅に送付しなければならないーーというものだ。
(弁護士ドットコム 8月23日)

 
たぶん、この会社は社会常識のモノサシが相当に異質なのだろう。東京都労働委員会が交付した命令書に従って、悪弊を撤廃できることを期待したいが、命令内容をどこまで履行するのか。労働委員会は履行状況を追跡するのだろうか。

このタイプの会社は、確信犯であり、社会感覚も麻痺している。社員の退職がつづき、顧客も離れていき、経営危機に直面しない限り改まらないが、経営陣にとって改善は相当な葛藤を伴うだろう。社会のルールがどうであれ、処世観を否定され、やり直しを強いられるぐらいなら、舞台を変えてふたたび乱暴狼藉の日々を送りたいと望むのではないか。

たぶん労働委員会からの命令など一般論としてしか受け止めない。労働委員会も、改善するフリをされるだけで実質が変わらないことを承知のうえで手続きを進めたのだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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