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トヨタ、裁量労働拡大=「残業代」17万円分を保証

トヨタ自動車が自由な働き方を認める裁量労働の対象を拡大する方針を固めたことが2日、分かった。自動車産業の競争が激化する中、仕事にめりはりを利かせ生産性の向上を図る。対象は事務職や技術職の係長クラス約7800人。残業の有無にかかわらず、月45時間分に相当する手当(17万円)を支給し、残業が45時間を超えた場合には超過分も支払う。
 
新制度案は既に労働組合に提示しており、12月までの実施を目指す。政府は今秋の臨時国会に、高収入の専門職を労働時間規制の対象から外す法案を提出する考えだが、製造業の労働実態に合わせた独自の制度を先行導入する。
 
トヨタでは現在、企画や専門業務に携わる係長クラス約1700人などに裁量労働を認めているが、対象を拡大して希望者を募る。本人が申請し会社が承認すれば適用される。対象者には一定の長期休暇取得も義務付ける。
(時事通信 8月2日)

業種や職種にもよるが、本来、労働時間は上限を設けたうえで、各自の裁量で決めればよい。労働時間と成果が比例関係にあれば、従来どおりの時間重視主義が継続されて然るべきだが、有能な社員ほど業務処理時間は短い。時間重視主義は割に合わない。

その意味で、トヨタ自動車の裁量労働制は関心を呼び、後追いする企業がつづくだろうから、時間から成果への流れは相当な勢いで加速していく。この流れに対応できない企業は、早晩、人材確保に行き詰まり、競争力を低下させてしまう。

それにしても、係長クラスの約7800人に対して、残業の有無にかかわらず、月45時間分に相当する手当17万円を支給する措置は、多くの企業にとって垂涎の的だろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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