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<連合>「残業代ゼロ」容認撤回へ 政労使合意見送り

成果型労働制といわれる「高度プロフェッショナル制度」(高プロ)導入を含む労働基準法改正案の修正を政府に求めて容認する姿勢を示していた連合が、一転して高プロの政労使合意を見送る方針を固めたことが関係者への取材で分かった。
 
連合は、所得の高い一部の専門職を労働時間の規制から外す高プロ導入を「過労死を助長する」として2年以上反対し、改正案を「残業代ゼロ法案」と批判してきた。ただ、連合は「年104日以上の休日確保」を義務付けるなどの修正案を示し、高プロを容認する方向にかじを切っていた。
 
27日に札幌市で中央執行委員会(中執)を開き、高プロの事実上容認を撤回して再び反対へ転ずる。27日に延期されていた政労使会談は、中止される見通し。政府は秋の臨時国会で高プロ導入と裁量労働制拡大、残業時間の上限規制を盛り込んだ改正案を可決・成立させる方針だったが、戦略練り直しを迫られる。
 
連合の神津里季生(こうづ・りきお)会長は13日に改正案の修正を安倍晋三首相に申し入れた際、「(与党多数の)政治状況の中で(健康確保措置が)不十分なまま改正案が(残業規制と一括で)成立してしまうことは耐えられない」としていた。
(毎日新聞 7月26日)

連合が高度プロフェッショナル制度の導入に向けて、政府に歩み寄りを見せたニュースには驚いたが、ひとまず沈静化したようだ。連合のなかでどんな議論を経たのか、あるいは政府との間でどんな調整が行なわれたのかは分からないが、組合関係者でなくとも、連合が高プロを容認することには違和感を禁じえない。

年収が高額であろうと、勤め人である限り、労働時間の上限を設定したうえで賃金体系を議論するのが筋道だ。

労働基準法改正で最優先すべきは健康管理で、生産性向上は優先事項の2番目である。この順序を間違えたら、改正労基法は過労死の温床にもなりかねない。原理原則は曲げないほうがよい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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