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カードローン、大手銀などが行員評価に 過剰融資の恐れ

無担保で個人に多額のお金を貸すカードローンでの融資拡大を、多くの銀行が支店や行員の評価対象にしていることが、朝日新聞の調査でわかった。調査対象の半分近くの29行が「(評価対象に)含まれている」と答えた。貸付額が消費者金融を上回り、規制強化を求める声が出る中、銀行が融資拡大に前のめりな状況が浮き彫りになった。
 
調査は、カードローンを扱う大手銀行5行と全国地方銀行協会に加盟する64行の計69行に6月中旬に書面で行い、50行が回答(1行は一部のみ回答)した。
 
カードローンの口座数や融資額の増加を支店や個人の評価対象としている、としたのは、回答した49行の6割の29行だった。評価対象を答えた銀行では、17行が支店を対象にしているとし、5行は支店と個人の両方が対象だとした。「ノルマ」として営業現場に目標が課されている銀行もあるとみられる。
 
銀行全体の経営計画でカードローンの融資や口座の数値目標を「設けている」としたのは、回答した50行のうち6割の29行だった。過剰融資への批判もあり、一部の銀行は「目標の水準を見直した」と答えたが、「無理のない範囲で推進し、見直しはしない」との意見もあった。
(朝日新聞 7月12日)

半年ほど前に、ある銀行の支店窓口で「急にお金が必要になった時に、お役に立ちますよ」とカードローンのパンフレットを渡された。その行員に「あなたはカードローンを利用したことがあるの?」と尋ねたら「今のところ、ございません」。型どおりの回答だった。
 
後日、その銀行の本店営業部幹部と面談する機会を得たので、上記のやりとりを話したら「うちの行員でカードローンを利用する者は、まずいません。カードローンを利用する人は多重債務者か多重債務者予備軍です」と説明された。当然だろう。
 
いくら利幅あるローン商品とはいえ、カードローンを窓口で勧める行為は、銀行の信頼性に関わる行為だ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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