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昨年度のパワハラ7万件 5年連続で過去最多

厚生労働省は16日、労働者と企業のトラブルを裁判に持ち込まずに迅速に解決する「個別労働紛争解決制度」の2016年度の利用状況を公表した。全体の労働相談件数は約113万件で15年度と比べ9.3%増えた。内訳はパワーハラスメントを含む「いじめ・嫌がらせ」が同6.5%増の7万917件で、5年連続で最多だった。
 
集計結果を踏まえ、厚労省は「泣き寝入りせずに、職場改善を求める動きが広がっている」と分析している。
 
職場のいじめ・嫌がらせに次いで相談が多かったのは「自己都合退職」で同7.2%増の4万364件。厚労省によると、人手不足により「会社が辞めさせてくれない」といった相談が増えているという。「解雇」は同2.7%減の3万6760件だった。
 
同制度は裁判以外の紛争解決(ADR)の一つとして2001年10月にスタートした。都道府県労働局や主要駅周辺などにある「総合労働相談コーナー」で相談を受け付けている。
(日本経済新聞 6月16日)

パワハラは人権問題である。人権感覚の欠落は容易に改まるものではない。マニュアルを整備し、社内教育で周知徹底したところで、心の奥底まで改善できるとは限らない。おおかた無理だろう。
 
成果主義人事で社員を追い詰め、さらに何かにつけ自責を求める企業文化に向かえば、パワハラを受けた社員もパワハラを受け止めず、あるいは受け止めても泣き寝入りしてしまいかねない。しかも加害者が主流派の実力社員や役員である場合、失墜させまいとして、お目こぼし措置をとるケースもあるという。
 
この問題を解決するには、加害者に対して心理カウンセラーを付けるなど医療的な措置も検討する必要があるのではないか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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