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看護師夜勤、基準越え34%

全国の病院で夜勤を含めた交代制勤務をしている看護職員のうち、夜勤抑制の基準となっている「月72時間」を超える夜勤をしている人が34.8%に上ることが12日までに、日本看護協会(東京)の2016年調査で分かった。12年の前回調査(32.0%)から微増。夜勤時間の長い看護職員が多い病院ほど離職率が高い傾向も確認された。
 
現行の労働法制に夜勤時間や回数の規制はない。診療報酬の入院基本料に関し「看護職員1人当たりの月平均夜勤時間数は72時間以下」の算定要件を設けることで、長時間の夜勤に歯止めをかけている。
 
調査は16年10月、全国8469病院を対象に実施し、3549施設から回答があった。これらの施設で夜勤に従事する看護師や准看護師(約18万人)の中で、月当たりの夜勤時間が「72.1~80時間以下」だったのは14.5%。「80.1~96時間以下」14.7%、「96.1時間以上」5.6%で、72時間超は計34.8%となる。
 
協会は、月72時間の夜勤は3交代制(夜勤8時間)の場合だと、月の夜勤回数が9回分に相当し、2交代制(夜勤16時間)では4.5回分に当たると説明している。
 
一方、夜勤時間と離職率の関係性を見ると、72時間を超える職員が10%未満の施設では離職率は9.1%だったのに対し、72時間超の職員が50%以上になると離職率は11.9%だった。
(日本経済新聞 6月12日)

 
入院医療から在宅医療に比重を移す手段として、厚生労働省は訪問看護ステーションの開設増を促進している。それも24時間365日対応の機能強化型というカテゴリーのステーションの増加に重点を置いているが、事業者の考え方はさまざまだ。
 
「24時間365日体制で地域の患者と家族を支えるのが訪問看護ステーションの使命」と考えて稼働している事業者もあれば、「スタッフのワークライフバランスを優先させないと採用にも定着にも支障が出でしまうので、収入が増えなくても、24時間365日体制を組むつもりはない」と考える事業者もいる。
 
後者に事情を聞くと、看護師の入社動機を重視したいのだという。

「うちに入社してくる看護師の大半は、30歳前の後急性期病院出身者です。10年近く夜勤の職場で働き続け、心身ともに疲れたので、普通のOLのような生活をしたいという動機で入社してきます。その動機を重視しているので、24時間365日体制が訪問看護ステーションのあるべき姿という意見に合わせる考えはありません。会社が成り立たなくなってしまいますからね」

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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