2017/06/16
勤続30年超、部長まで務めたのに――。出向先への転籍を断ったところ、クリーニング工場勤務を命じられ、給料も4割減ったとして、医療施設の設備管理などを行う「キングラン」グループに籍を置く男性社員(56)が、配転の不当を訴えていた労働審判事件で、東京地裁は6月9日、男性の出向元「キングランメディケア」に対し、出向前の部署に戻すことなどを旨とする審判を下した。
審判後、男性とともに厚労省記者クラブで会見を開いた、代理人の新村響子弁護士は「辞めさせるため、嫌がらせのための配転が後を絶たない」と日本社会の現状を批判。厚労省でパワハラの法規制が検討されていることを念頭に、「パワハラの一類型だと思う。国としても法律で対策すべきだ」と強調した。
この男性は、1984年に同グループに入社。社員番号は19番という古株だ。以来、本社や別のグループ企業に異動しながら、業務管理や品質管理(ISO9001の認証維持)などに当たってきた。
(弁護士ドットコム 6月9日)
この審判内容に対して、会社が異議申し立てをして裁判に持ち込むかどうか。会社が正当性をどのように実証するのか。実態は依願退職に追い込むためのパワハラのようだが、会社がパワハラを率直に認めることは考えられない。
キングラングループの場合に当てはまるかどうか分からないが、一般に、こうした問題が起きる要因は、会社に全面的な服従を要求する組織風土、さらにいえば経営者の性格にある。
支配欲求の強い人物には、親分肌で社員を包み込む一方で、ときに命令を拒否されると豹変して、拒否した社員を排除にかかるタイプが少なくない。
働き方改革に“理不尽な人事の廃止”も掲げる必要があるが、経済界は基準の設定や組織の硬直化を理由に応ずるとは限らない。なによりハラスメントの横行を認めたくないのではないか。いじめをめぐる学校や教育委員会の対応と同様である。
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