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上場企業の平均給与、初の600万円台に

2016年(1-12月)の上場3,079社の平均年間給与は前年より6万3,000円(1.0%)増え、605万7,000円だった。2011年の調査開始以来、5年連続の増加で初めて600万円台に乗せた。
 
業種別で、最高は金融・保険業の702万9,000円(前年698万円)で、唯一700万円台に乗せた。次いで、建設業の671万9,000円、不動産業の663万7,000円、電気・ガス業の658万6,000円と続く。最低は6年連続で小売業の500万円(同496万3,000円)で、金融・保険業とは1.4倍の差があった。業績が好調な建設業、不動産が順調に上昇し、東日本大震災以降、減少が続いていた電気・ガス業は初めて増加に転じた。
 
個別企業の平均年間給与では、M&A助言会社のGCA(2,139万6,000円)が2年連続で首位を守った。2,000万円台は唯一で、2年連続の2,000万円台だった。一方、500万円未満も723社(構成比23.4%)あり、上場企業の平均年間給与は二極化が拡大している。
(東京商工リサーチ 5月24日)

上場企業の年間平均給与に格差があることは昔からだった。だが、GCAのように平均給与が取締役の報酬水準に達している企業はなかった。GCAの従業員平均年齢は公開データによると37歳。家計は左団扇で、サラリーマン離れした貯蓄もあるだろうから、老後の不安など抱くにおよばないのではないか。経済的には“勝ち組サラリーマン”だ。
 
GCAは例外としても、上場企業の平均が600万円を超えたことで、中小企業の人材確保難はますます進行してゆくだろう。

東京商工リサーチの同じレポートによると、国税庁が公表した「平成27年分民間給与実態統計調査結果」で、2015年の平均年間給与は420万4,000円(正規484万9,000円、非正規170万5,000円)、上場企業の平均年間給与と1.4倍(185万3,000円)、正規社員ベースでも1.2倍(120万8,000円)の開きがある。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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