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<北海道新聞社>残業代未払い 是正勧告受けて支給

北海道新聞社(札幌市)が東京支社の社員に残業代を払っていなかったとして、三田労働基準監督署から労働基準法違反で是正勧告を受け、延べ33人に未払い分の計約132万円を支給していたことが分かった。勧告を受けて同社が社内調査したところ、全社員の7割以上に計約2億8300万円の残業代未払いがあることが判明し、全額を支給した。
 
同社経営企画局によると、勧告は昨年3月18日付。東京支社に昨年2月、労基署の立ち入り調査があり、2015年11~12月に残業代の未払いがあることが判明した。また社内調査の結果、14年2月~16年4月に全社員の7割以上、計1064人に未払いの残業代があることが分かったという。
 
同社経営企画局は「今後は不払いが生じないようにしたい」と話している。
(毎日新聞 5月23日)

同じ新聞社でも記者職、営業職、事務職、製作職などいくつかの職種があり、職種ごとに勤務体系は異なるが、たとえば記者職の残業時間をどのように算定したのだろうか。その内実はともかく、新聞社が労働基準監督署のターゲットになったことは(業種の特殊性を理由に長時間労働を放置することを認めない)という当局の意思の現われだろう。
 
残業代の取り扱いでハードルになるのは、算定基準よりも原資の確保かもしれない。中小企業に残業代未払いが多く発生しているのは、原資を確保できないからで、かといって支払い能力に応じてしか就労させられなければ、事業が成り立たなくなる。
 
長時間労働問題に直面する企業がITを駆使した生産性の向上という一般論をいくら聞かされても、打開策は見出せまい。同業種・同規模の企業の取り組み事例から学ぶのが現実的だ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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