Talk Genius

人と会社と組織を考えるニュースマガジン

「仮眠も労働時間」イオン関連会社に残業代支払い命令

イオンの関連会社で警備業の「イオンディライトセキュリティ」(大阪市)の男性社員(52)が宿直の仮眠は労働時間にあたるなどとして、未払い残業代などの支払いを求めた訴訟の判決が17日、千葉地裁であった。小浜浩庸裁判長は「労働からの解放が保証されているとは言えない」として、原告の請求をほぼ認め、未払い残業代と付加金の計約180万円を支払うよう同社に命じた。
 
判決によると、男性は2011年に入社し、都内や千葉市のスーパーで警備の仕事をしてきた。千葉市の店で働いていた13年1月~8月には24時間勤務で、30分の休憩時間と4時間半の仮眠時間があった。
 
原告側は「仮眠時間でも制服を脱がず、異常があった際はすぐに対応できる状態を保ったままの仮眠で、業務から解放されなかった」と主張。小浜裁判長は「仮眠時間や休憩時間も労働から解放されているとは言えない」と指摘した。
(朝日新聞デジタル 5月17日)

職業は異なるが、類似した事例に医師の当直問題がある。当直が時間外労働に含まれるかどうかについては、2013年に最高裁が当直を時間外労働に認定した。
 
奈良県立奈良病院の産科医2人が当直勤務の時間外割増賃金を県に求めた訴訟の上告審で、最高裁が県の上告を退けて、県に約1500万円の支払いを命じた。

第3小法廷(大谷剛彦裁判長)は13日までに、県の上告を退ける決定をした。当直を時間外労働と認め、県に計約1500万円の支払いを命じた一、二審判決が確定した。決定は12日付。
 
訴訟では、夜間や休日の当直業務が、労働基準法で規定された時間外手当の支給対象となるかが争点だった。
 
一審・奈良地裁は「産科医は待機時間も労働から離れていたとはいえず、当直開始から終了まで病院の指揮下にあった」とし、当直は労働基準法の時間外労働に当たり、割増賃金の対象になると判断。一方、休日も呼び出しに備え自宅で待機する「宅直勤務」については、「病院の指示ではなく、労働時間には当たらない」として原告の請求を退けた。
 
二審・大阪高裁も一審判決を支持したうえで「県は、複数の当直担当医を置くか、自宅待機を業務と認め適正な手当を支払うことを考慮すべきだ」と言及した。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

この著者の記事を全て見る

Talk Geniusとは-

ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。