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不老不死温泉 残業月100時間超で労基署が書類送検

従業員に違法な時間外労働をさせたり、時間外割増賃金の一部未払いがあったとして、五所川原労働基準監督署は14日、労働基準法違反の疑いで、深浦町で温泉旅館を営む「黄金崎不老不死温泉」と、同社の社長(44)を青森地検五所川原支部に書類送検した。従業員には過労死ラインとされる月100時間以上の残業が4~5カ月続いた人もいたという。

送検容疑は、2016年4月1日から8月31日までの間、三六協定(残業をさせるのに必要な労使協定)を結ばず、従業員23人に対して違法な時間外、休日労働をさせ、このうち22人に同年4月から11月までの間の時間外割増賃金の一部349万4383円を支払わなかった疑い。社長は容疑を認めているという。従業員の健康被害は確認されていない。

(中略)

14日、五所川原市内で会見した同署の岩渕稔署長は「15年11月に立ち入り調査を行い、違反の是正勧告、行政指導を行ったが、16年12月の調査でも月100時間を超える労働者が多数認められた。内容が重大、悪質と判断した」と話した。

社長は東奥日報紙の取材に「1月から長時間労働を是正するための対策を実施しており、きちんと改善したい。残業代は金額を調べて速やかに支払いたい」と話した。
(Web東奥 4月15日)

労働基準法違反の摘発は労働基準監督署の動き方次第で、担当官によっても温度差がある。かつては、管内の企業に違法事案が発生しないことを良しとする体質から、労働者が相談に訪問しても、あれこれと理由をつけて保留にしてしまう例も少なくなかった。

だが、電通の過労死問題を機に、労基署の姿勢も変わったようだ。ネームバリューのない中小企業だから摘発の対象から外れるという安易な考えを持ちつづけているのなら、即座に捨て去ったほうがよい。

一方、ベンチャー企業の社員には、長時間労働の抑制を懐疑的に受け止めているケースもある。「うちの会社には働きたくて仕方がない社員が多いので、残業を規制されるとモチベーションが下がってしまいます」(都内の人材紹介会社課長)という。この会社では、自宅で自主的に仕事をする社員が多いそうだ。

起業家をめざすのなら、そのぐらいの就労欲がほしいが、健康にすぐれていないと起業家として上手くやっていけないことも認識したほうがよい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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