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プレ金、経産省の目論見外れる皮肉な結果に「自分には関係ない」

月末金曜日は午後3時に退社し余暇を楽しもう-。停滞する消費を押し上げようと経産省が旗振り役となり、2月24日に鳴り物入りでスタートした「プレミアムフライデー」。

株式会社VSN(東京都港区)が実施した実態調査では、半数近くの人が「自分には関係ない」と他人事で、実際当日にイベントなどを楽しんだ人はわずか5.0%だった。「今回は様子見」とひとまず見送った企業も少なくなかったようで、「中小企業はとてもじゃないけど無理」といった嘆き節も。消費を促したい経産省の目論見は外れ、「アフター3」を満喫した人は少数だったようだ。

調査は20代から50代の働く男女1704名を対象に、2017年2月24日~26日に実施。プレミアムフライデーの認知度や取り組みへの感想、当日の予定などを聞いた。

小売や飲食業では特別企画が続々と打ち出され連日テレビを賑やかせたためか、プレミアムフライデーを「知っている」と答えた人は88.8%と性別・年代問わず高い認知率となった。

しかし、当日の予定を聞いた質問(複数回答)では「特に何もしなかった」が43.9%でトップ。次いでなんと「仕事」が35.0%に対し、当日にキャンペーンやイベントを楽しんだ人はわずか5.0%。特別な予定を立てないならまだしも、多くの人は仕事から解放されることもできない皮肉な結果となった。
(SankeiBiz 2月28日)

プレミアムフライデーが当初から普及するとは誰も考えなかっただろうし、いまの時点で評価はできない。これが午前中で勤務を終える”半ドン“なら、消費をしないと間がもたない勤め人は多いだろうが、3時退社では、消費を楽しむにはやや中途半端だ。

午後3時に退社できても、給与が順調にアップしない限り、消費に結びつくことは考えにくい。そもそもプレミアムフライデーが働き方改革の一環としての取り組みならよいのだが、金を使わせることが目的では、勤め人も意図を見透かして、易々と乗せられることはないだろう。

まして消費税が10%に引き上げられれば、節約志向が高まって、プレミアムフライデーの実施企業が増えても、多くは帰宅派に入るのではないか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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