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残業特例、連合容認の方針

連合は22日、政府が検討している企業の残業時間の上限規制について、繁忙期に月100時間までとする案を、条件付きで受け入れる方針を固めた。すでに政府が示した月平均60時間、年間720時間の規制案を巡っては労使が合意。繁忙期にどこまで例外を認めるかを巡り、連合が「過労死のリスクが高まる」などとして「100時間」案に反対していた。
(中略)

連合100時間はあくまで暫定措置と位置づけた上で、受け入れの条件として上限規制の適用除外業種の撤廃、過労死防止策の法制化、制度の導入後一定の期間を経て繁忙期の残業「100時間」を見直すことなどを政府や経済界に求める方針。
(日本経済新聞 2月23日)

経済界が残業の上限100時間を通したいのなら、この記事で連合が要求すると報道された「受け入れの条件として上限規制の適用除外業種の撤廃、過労死防止策の法制化、制度の導入後一定の期間を経て繁忙期の残業『100時間』を見直すこと」を先取りして提示しておけばよかった。連合の要求事項は至極当然の内容で、十分に想定できたのではないか。

経済界は立場上、こうした内容をみずから100時間の条件として提示することはできないのだろうが、残業時間の上限問題は、突き詰めれば企業の競争力と社員の生命のどちらを優先するかという選択に行き着く。

過労死防止策を提示したうえで、上限100時間の受け入れを求めないと、健康管理は後回しという印象をもたれかねない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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