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企業の4割超が「正社員不足」 過去10年間で最多

帝国データバンクが2月21日発表した企業の人手不足に関する調査結果によると、「正社員が不足している」と答えた企業は43.9%に上った。前回調査(2016年7月)から6.0ポイント増え、過去10年間で最も高かった。

正社員が不足しているという企業を業種別にみると、「放送」が最も多く、73.3%。「情報サービス」(65.6%)、「メンテナンス・警備・検査」(62.9%)、「人材派遣・紹介」(60.8%)、「建設」(60.1%)も多かった。

また、正社員不足の企業が最も多い業種と最も少ない業種の割合の差は、前回調査から14.2ポイント減の46.0ポイントへと縮小しており、より人手不足が拡大している様子がうかがえる。

企業からは「工事案件が数多くあり、人手が足りずに受注しかねる状態」(経営コンサルタント)、「人手不足で仕事を取りに行けない。機動力のある大きい企業が有利」(建設)――など、正社員不足が受注に悪影響を及ぼしているという声が上がっている。
(ITmedia ビジネスオンライン 2月21日)

人手不足の慢性化が要因なのかどうか。昨今は、社員の定着を重視するベンチャー企業が増えている印象だ。以前は「成長についてこられない社員はいつ辞めてもらっても結構」と公言する経営者は、決して少数派ではなかった。

だが、ブラック企業問題がクローズアップされ、これに人手不足が加わって、もはや創業メンバーが経験してきた寝食を忘れて働くスタイルを踏襲させるわけにはいかない。経営者の本心がどうであれ、時代の要請に抗えなくなった。

さらに、社員の離職がノウハウの流出に直結することも見過ごせないという。ITベンチャー経営者は「ナレッジの共有といっても、結局、ノウハウは社員個人に蓄積されるものです。辞められたらノウハウも流出してしまうので、定着率の向上は重要な経営課題です」と打ち明ける。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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