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プレミアムフライデー、15時退社は本当に可能か

月末金曜日に消費を喚起する「プレミアムフライデー」の24日開始を前に、小売りや外食、旅行などの業界が盛り上がっている。特別メニューの提供や抽選会の実施など、財布のひもを緩めさせるための施策を打ち出している。ただ、プレミアムフライデーは終業時間を15時に切り上げ、消費者が自由時間を持つことが前提だ。こちらについては企業の動きが鈍く、かみ合っていないようだ。

1月の最終金曜だった27日。日本百貨店協会は加盟各社がプレミアムフライデーに、レストランフロアで食べ歩きや飲み歩きができるイベント「週末めぐらナイト」を実施すると発表した。大西洋会長(三越伊勢丹ホールディングス社長)は「早く(仕事から)上がって頂いて、街を巡ってもらうのが大切。大きなうねりになっていけばいい」と話す。

経済産業省はプレミアムフライデーを官民連携の取り組みに位置付け、広告費などとして2016年度の補正予算に2億円を計上した。プレミアムフライデーに賛同する企業・団体向けロゴマークの使用申請企業・団体数は、1月26日時点で900超となった。
(ニュースイッチ 2月7日)

15時退社を実行すれば、当初は他の日にしわ寄せが来るだろうが、注目したいのは労働時間の削減よりも、むしろ消費の拡大に結びつくかどうかだ。

プレミアムフライデーの導入で当日の消費は増えるだろうが、消費全体が拡大することは期待できないのではないか。勤め人の小遣いには限りがあるのだから、プレミアムフライデーに消費を増やせば、一方で他の日の消費を減らして帳尻を合わせることにならざるをえない。

小売店や飲食店がプレミアムフライデー商戦を打てば打つほど、他の日は節約に走ることを後押しするようになる。たぶん消費バブルは起きないだろうが、それでも自動車や住宅など高額な消費に対しては、プレミアムフライデーに契約すれば特別な割引価格を設定するなど、企業はあの手この手で仕掛けてくるに違いない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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