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厚労省、中途採用促進へ50~60万円助成

厚生労働省は企業の中途採用を促すための助成制度を来年度から始める。初めて中途採用をする企業向けと、採用に占める中途の割合を高めた企業向けに2つのコースを用意。生産性の向上などを条件に、採用後に1事業所あたり50万~60万円を助成する。中途採用を後押しするために新たにガイドラインもつくる方針だ。

政府は働き方改革の課題の一つとして成長力の高い産業への労働移動の促進を掲げている。今回新設する助成金やガイドラインはそのための取り組みの一環だ。

中途採用を初めてするコースは45歳以上であることが前提となる。両コースとも雇用する側の企業の労働生産性が過去3年間で最低6%上昇していることも条件となる。
(日本経済新聞 1月14日)

働き方改革に関する助成制度がいろいろと講じられているが、助成金を支給しなければ改革が進まないというテーマではないだろう。中途採用を促進するための助成金は、働き方改革関連予算の出口を設けたような印象だ。一般に、予算措置と行政権の拡大はセットになるが、この助成金もそうなのだろうか。

気になるのは、助成金の成果よりも、むしろ不正受給だ。助成金の乱発が不正受給を誘発することは、疑いようのない現実である。この記事が掲載された2日後の1月16日付日本経済新聞には、2013~15年の3年間に雇用調整助成金の不正受給が約54億3000万円に達し、各労働局が返還を求めたものの未返還が約4割におよぶことが報じられた。

同記事には「悪質な時は企業名を公表し、刑事告訴する場合もある」と書かれてあるが、当然の措置だ。審査の厳格化も必要だが、立件しない限り、不正受給がなくなるはずはない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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