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給料未払い、被害総額2億8千万円…兵庫・洲本の運送業者を書類送検

兵庫県の最低賃金以上の給料を社員に支払わなかったとして、淡路労働基準監督署は29日、最低賃金法違反容疑で運送業「淡路貨物自動車」(洲本市物部)と同社の男性社長(83)を神戸地検に書類送検した。同社では約10年前から給料の支払いが遅れることが続いており、男性社長は「努力したが未払い状態を解決できなかった」と容疑を認めているという。

書類送検容疑は、平成25年12月から27年10月の間で、社員10人に対し最低賃金である計約1970万円のうち約1680万円を所定期日までに支払わなかったとしている。
署によると、同社は昨年11月に事実上倒産したが、その時点で117人分の給料と72人の退職金が未払いの状態で、被害総額は計約2億8千万円となるという。
(産経新聞 11月30日)

約10年前から給与の遅配がつづいているという理由は、資金繰りの問題だけではあるまい。この社長には、まともに支払う意思がなく、そのうち雇用感覚が麻痺してしまったのではないか。

社員も倒産されては未払いのまま終わってしまうので、忍従を強いられたのだろうが、社長にとっては願ったり叶ったりだ。金銭のやりとりでは、ときとして債権者よりも債務者のほうが立場が強くなるが、この社長と社員の関係もそうだったのだろう。

本来、支払い能力がなければ、社員を雇用しなければよい。それでは会社が成り立たないのなら、清算すればよい。それだけのことである。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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