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電通、「子育てサポート企業」の認定辞退

昨年12月に新入社員の高橋まつりさん=当時(24)=が過労自殺した電通について、厚生労働省は1日、同社の「子育てサポート企業」の認定辞退を承認したと発表した。
 
厚労省によると、同社は1日、東京労働局に「現在の会社の社会的な状況に鑑みて、認定を辞退すべきという結論に達した」と辞退を申し出たという。

「子育てサポート企業」は子育てと仕事の両立のため、労働時間短縮など働きやすい環境を整えている企業を厚労相が認定するもので、電通は平成19、25、27年の3回、認定されていた。(産経新聞 11月1日)

働きやすい企業かどうかは、そもそも国が評価すべきことではなく、社員が評価すべきことである。就労環境に関する認定制度が企業の就労環境改善を促す効果はあるだろうが、認定制度があろうとなかろうと、改善に取り組まない企業は、やがて労働市場から見捨てられる時代になった。

入社希望者も、認定に多少の安心感を抱いても、鵜呑みするほど短絡的ではないだろう。鵜呑みとは思考停止である。

本来、公的制度は利用すべき対象であり、依拠する対象ではない。だが、依拠する民間事業者がつづくと制度が支配力をもってしまい、事業者が制度にぶら下がるような構図が形成されかねない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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