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労働時間「9時~5時」からの脱皮

金属加工のオーザック(広島県福山市)は社員に1日8時間以上働かせない。仕事も減らさない。社員は工夫した。1人が複数の機械を扱う「多能工」という仕組みを取り入れた。今は機械部門の7割にあたる11人が多能工。残業は6年で3分の1に減った。
社内に休みやすい空気が生まれ、仕事と家庭の両立が進んだ。必要な仕事を短時間で終え、早帰りする人もいる。岡崎瑞穂専務(62)は「労働時間を減らして生産性を落とすわけにはいかない。社員が何をすべきかを考えてくれた」と話す。
時間の縛りをかけずとも労働者は賢く働く。成果に応じて賃金を払う脱時間給制度はいまの労働実態に即している。国が一律に労働時間や残業時間を決めれば、むしろ働く自由度が減る。寝食忘れて働くのもいい。「9時~5時」で会社にいる必要はない。
(日本経済新聞 10月30日)

出社時間の自由化が進むと、おのずと社員の副業機会も増え、就業規則で副業禁止を命じていても効力を持たなくなってゆく。給与所得者でありながら出勤時間と副業が自由なのは大学教員で、働き方は自営業に近い。

いずれ会社員も、競業禁止などの制約を受けながら自営業に近づくだろうが、自営社員には法人を設立して家族を参画させながら業務を拡大し、起業に向うケースも出てくるのではないか。とくに40代半ばを過ぎて昇進の限界の見える時期がくると、意欲さえあれば、どんどん外向きに行動したいはずだ。

飼い殺しは会社にも社員にもマイナスである。自己啓発だの、意識改革だの、精神修養プログラムに時間とコストをかけるよりも、社外の仕事を自由にさせたほうが活力を引き出せ、会社にも貢献するようになるだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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