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外国人介護人材に日本語能力のカベ

政府が技能実習制度を活用した海外の介護人材の確保に動くのは、介護業界の深刻な人手不足が背景にある。国家資格の取得など日本国内で働き続けるためのハードルは高く、働き手の確保にどれだけ効果があるかは未知数だ。
厚労省は2025年度に介護人材が40万人弱不足すると試算する。外国の介護人材を受け入れる有力な方法としては、現状では経済連携協定(EPA)がある。ただEPAは相手国の意向が重視されるため、介護の担い手を確保するには使い勝手が良いとは言えない。

介護福祉士の試験を突破するには専門用語の習得など日本語能力を高めなければならず外国人にはハードルが高い。政府が技能実習生に在留資格を認める仕組みでも介護福祉士の資格が条件になる見込みで、EPAと同じ問題に直面する。
(日本経済新聞 10月26日)

EPAで来日して介護事業所で働く外国人人材は、現在は特別養護老人ホームや老人保健施設などの施設に配置されているが、来年から訪問介護への従事を解禁する議論が厚生労働省の検討会で進んでいる。

施設で働く外国人介護士には、利用者宅という相手側の空間で働くことに不安を覚える例が少なくなく、訪問介護事業者にも「外国人に訪問介護はマッチしないので、今後採用を増やしても施設にしか配置しない」(大手介護会社執行役員)という方針を固めた事業者もいる。

外国人人材の日本語能力がネックになる業務は、毎日の介護記録の作成である。支援ツールとして音声入力システムを導入する事業者がつづいているが、評判を聞くと、なかなか使い勝手がよいという。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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