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銀行のノルマ営業監視 金融庁行政方針

金融庁は銀行が支店や職員に営業上の過度なノルマを課していないか監視を強める。投資商品の販売や融資増を狙った営業目標の実態や業績の評価方法を検証。顧客不在の利益追求につながりかねない行き過ぎた目標の是正を促す。無理なノルマが不正を招いた米銀大手ウェルズ・ファー後の例も念頭に、踏み込んだ対応で「顧客本位の業務運営」の徹底を求める。
 
金融庁は近く公表する2016年事務年度(16年7月~17年6月)の金融行政方針でこうした姿勢を示す。顧客利益を最優先に考えたサービスの提供で、結果的に金融機関も安定した顧客基盤や収益を確保できるとみる。
 
一般に銀行は、投資信託など手数料収入につながる投資商品の販売や融資の増加目標を支店ごとに設定、営業職員にノルマを割り振り目標達成をめざす。ノルマが行きすぎると手数料の高い商品を勧めたり、企業に不要な借り入れを求めたりしかねない。
(日本経済新聞 10月20日)

銀行に対してノルマ営業による顧客不在の利益追求を改めても、行員の人事評価制度が修正されない限り、ノルマ営業はつづくだろう。サラリーマンは人事評価を判断基準に行動する人種である。評価にプラスか、マイナスか。それが最優先されるのだ。

金融庁が人事評価にまで口をはさむのは内政干渉なのだろうが、そこまで踏み込まずに顧客利益の追求を指示することは現実的ではない。メガバンクの元支店長は「銀行とお客さんは利益相反関係にあります。お客さんにとって利益の厚い商品は、銀行にとって利益が薄いのです。そのことを理解して銀行と付き合ってほしいですね」と教えてくれた。

元支店長の説明によれば、顧客本位になれば銀行の収益は低下してしまう。金融庁の行政方針は“天の声”だが、銀行はどこまで受け入れるのだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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