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初の「過労死白書」=長時間労働の現状など報告

政府は7日の閣議で、2016年版の過労死等防止対策白書を決定した。
14年に成立した過労死防止法で毎年国会への報告が定められており、作成は今回が初め
て。長時間労働の現状や、対策の実施状況などをまとめた。
白書は、残業時間が過労死の目安とされる月80時間を超えた正社員がいた企業の割合が、
14年度に22.7%に上り、特に情報通信業が44.4%で最も高かったとする調査結果を紹
介。週60時間以上の長時間労働は減少傾向にあるものの、30~40代男性の割合が依然と
して高いとするデータも示した。
(時事通信 10月7日)

小池百合子都知事が都庁職員の午後8時退庁方針を発表した。14日に開かれた定例会見
で「いまの仕事の仕方は生産性が低い」と指摘したうえで「北欧の公務員にイクメンはた
くさんいるが、早く退庁しても、行政に支障は起きていない」と強調した。

戦時中の「欲しがりません、勝つまでは」が、みごとに「退勤しません、目標を達成するまでは」に転化し、滅私奉公が多くの企業でDNAにもなった。成果が出ようと出まいと、会社に心身を捧げることに価値があるのだ。
オフタイムを楽しむために働くのではなく、働くこと自体が目的となった風土が、政府が音頭をとる働き方改革で容易に変化するとは思えない。長時間労働が改善されない企業が採用に困り、社員の離職にも悩むという問題に直面しない限りは、この問題は解消されない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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