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契約社員に手当不支給は違法=会社に支払い命じる―大阪高裁

運送会社で契約社員のトラック運転手として働く男性が、正社員に支払われる手当などとの差額分計約578万円を会社に求めた訴訟の控訴審判決が26日、大阪高裁であった。

池田光宏裁判長は一審大津地裁彦根支部判決を変更し、一部の手当の不支給は労働契約法に違反するとして77万円の支払いを命じた。

訴えていたのは運送会社「ハマキョウレックス」(本社浜松市)彦根支店に勤務する池田正彦さん(54)。2008年10月から6カ月ごとに同社と契約更新している。

池田裁判長は、正社員と仕事内容に大きな違いはないとした上で、一審が認めた通勤手当に加えて、無事故手当や給食手当についても「正社員との違いは不合理」と判断。改正労働契約法が施行された13年4月以降の差額を損害と認めた。
(時事通信 7月26日)

この判例は無用な処遇差別の解消を示唆しているが、一方で同一労働同一賃金への移行が着々と進む予兆である。処遇に格差を設けるには、必然性をどこまで説明できるかが問われてくるだろう。

性別、国籍、学歴、年齢、雇用形態――同一年齢同一賃金のもとでは、こうした要素はますます用をなさなくなってゆく。担当する仕事は何か。成果を出したのか。評価もシンプルになる。

いわば業務請負と同じようなスタンスで働くことに向かい、プロ意識が高まる一方で気の休まる暇がなくなる。立ち止まらずに走りつづけることが強いられる職場では、いま以上にメンタルヘルス対策が重要視されるだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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