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上場企業CEOはカリスマでも「機関」

――鈴木氏の人事案が拒まれました。
「鈴木氏が卓越した経営者であることは間違いないが、(株式を大量に保有する=)オーナーではない。どんなカリスマであっても、公器である上場会社の最高経営責任者(CEO)は業務執行を担う『機関』だ。執行機関であるCEOが、専権事項のように後継者を選ぶことは許されない」

「だから鈴木氏側が出した人事を(監督機関である)取締役会が拒んだことは、企業統治が機能したと高く評価できる。それを担った社外取締役会の方々は素晴らしい。今回の事案は、日本の企業統治史上に残る快挙だ」
(日本経済新聞 4月25日)

この記事は経営共創基盤最高責任者でオムロン社外取締役の冨山和彦氏へのインタビューだ。長期政権を保持するカリスマ経営者には「我、機関に非ず」との思いがあるかもしれないが、それを制御して、企業統治を守る理性は持ち合わせているだろう。

カリスマが然るべきタイミングで潔く退いてくれればよいが、そうはいかない。だが、カリスマ経営者に向かって、部下である取締役が退任を進言するには、返り血を浴びることを覚悟しなければならない。
かつて小泉純一郎氏は年齢を理由に中曽根康弘氏に引退を迫ったが、こんな修羅場に向かわせるのは勤め人には酷である。
 

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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