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日立、介護求職者に賃金の50%を9カ月支給

日立製作所は4月をめどに家族の介護で休職する社員を支援する新たな制度を設ける。介護のときに使う国の雇用保険制度は賃金の40%を3カ月だけ支給している。日立は4カ月目から9カ月、独自に賃金の50%を支給する。高齢者の増加を受け、介護をしやすくすることは企業にとって急務になっており、介護と仕事の両立を後押しする取り組みが広がりそうだ。

日立の労働組合が2016年の春季労使交渉で、介護支援制度の拡充を求めていた。これに対し、経営側が16日に回答する見込みだ。
(中略)

日立は働き方全般の改革を進めている。10月には育児費用の半額を最大で年間10万円程度まで補助する制度も導入する方針だ。
(日本経済新聞 3月16日)

介護離職ゼロに向けた介護サービス事業所の整備がどれだけ進んでも、介護人材を採用できない限り、サービスは稼働しない。リーマンショック直後に多くの企業が採用を控えたことで、介護業界に人材が流れた時期もあったが、雇用情勢が回復した途端に介護業界の採用難は復元してしまった。

介護サービス企業者の受け入れ能力には限界がる。政府による介護サービスの整備を待たずに、自前の対策を打つ企業が増えるだろう。日立製作所の処遇に加えて、介護事業者を買収して、社員の家族介護の受け皿に活用する企業も出てくるかもしれない。
企業立の病院も開設時は社員と家族の福利厚生が目的だった。保育と介護も企業が自前でサービス機能を整備する時代になるのだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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