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リストラ誘発しかねない再就職助成金 支給要件厳格化へ――厚労省

事業縮小や再編で離職を余儀なくされた人の再就職を支援する国の助成金について、厚生労働省は4月から支給要件を厳格化する方針を固めた。人材会社が、企業にリストラ方法をアドバイスし、助成金が使われる退職者の再就職支援で利益を得るなどしているためだ。労働者を守るためのお金が、リストラを誘発しかねない仕組みになっている。

支給要件を見直すのは雇用保険を財源とする「労働移動支援助成金」。企業が雇用を維持できない状況になった場合、労働者を速やかに再就職させるため、再就職支援を人材会社などに委託すると企業に支給される。委託時に10万円、6カ月(45歳以上は9カ月)以内に再就職が実現すれば委託費用の一部が支払われる。上限は1人につき60万円。
(朝日新聞デジタル 2月22日)

人材会社が企業にリストラ方法を教えて、労働移動支援助成金を還流してもらっているかを摘発するのは難しいだろう。助成金に悪用は付きものだ。まずもって創設には、不正利用の防止策と摘発方法に裏打ちされていなければならない。

人材会社のあり方で早急にメスを入れるべきは、看護師や介護士の紹介会社だろう。利用する病院や介護事業者に聞くと、紹介した人材を辞めさせては別の職場に紹介して手数料を稼ぐという“人コロガシ”がつづいているという。
人材会社への紹介手数料の財源は診療報酬と介護報酬、つまり税金である。もはやモラルを求めるのは現実的でない。行政指導が必須である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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