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給与総額は2年連続増、実質賃金はマイナス続く

厚生労働省が8日発表した2015年の毎月勤労統計調査(速報)によると、基本給と残業代、ボーナスなどを合計した「現金給与総額」(1人当たり、月平均)は前年比0.1%増の31万3856円となり、2年連続で増加した。
ボーナスは減ったが、春闘での賃上げの浸透で基本給が増加し、総額を押し上げた。基本給を指す「所定内給与」は10年ぶりに増加に転じた。
ただ、物価変動の影響を除いた実質賃金指数は0.9%減と、4年連続の減少となった。基本給は増加しているが、消費者物価の上昇に追い付いていないためだ。
(時事通信 2月8日)

予定通どおり2017年4月に消費税が10%に引き上げられる見通しになった。実質賃金はさらに下がるだろう。住宅ローン金利が下がったところで、購入意欲が高まるとは思えない。
ある飲食店経営者は「10%になったら値上げするしかないのだろうか?でも、お客さんは10円単位の変化に敏感だからね…」。どうにもならないという心境のようだ。
料金を据え置いて、料理の量を微妙に減らして利益を確保する手段もあるだろうが、この経営者は否定的である。「いや、お客さんにすぐに見抜かれてしまうから、それは難しいんじゃないかな?」。

一方で消費税10%引き上げを歓迎する業界もある。社会保障費で成り立っている医療介護業界だ。社会保障費の財源確保に向けて、なんとしても10%に引き上げてもらわないと、経営基盤が左右されかねないのである。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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