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シャープ、給与カット1年延長へ 労組に申し入れ

シャープが一般社員の給与カットを4月以降も1年間延長するよう労働組合に申し入れたことが1日わかった。経営再建中の同社は昨年8月から給与を1~2%削減し、一部の手当も減額している。業績回復が遅れているため引き続き人件費を削減し、早期の立て直しへの協力を求める。

シャープ労組は2016年の春季労使交渉で、上部団体の電機連合が求めるベースアップ(ベア)は難しいと判断し、4年連続で産別統一交渉から離脱することを決めた。優秀な人材の流出につながりかねないため、年間一時金については昨年実績の2倍となる4カ月の要求を検討している。
(日本経済新聞 2月2日)

シャープ労組は立場上、昨年以上の賃金を要求せざるをえない。かりに公費での再生が決まれば、4カ月分の賞与の要求は「モラルハザード」と扱われて通らないだろう。会社側も、この期におよんで人材の流出防止策を講じても、徒労に終わりかねないことは承知済みではないのか。
 シャープの再建が進まないのは国内企業に買い手が見つからないからだが、この現実は社員に対して自社の市場価値を実感させ、流出を促していることは察しがつく。しかし社員には買い手がつき、アイリスオーヤマなどシャープ出身者の雇用に積極的な企業もある。  
 シャープの経営危機は、会社員の市場価値をあらためて考えさせるが、こればかりは当事者になってみないとわかるまい。会社の調子がよければ、だれしも自分には市場価値があると思ってしまうものだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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