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来春入社予定者の内々定辞退が続出、引き留めに苦慮

 
首都圏の企業が来春入社予定の内定者の引き留めに苦慮している。大手企業の採用が本格化した8月以降、複数の内々定を得た学生による辞退が続出。各企業は入社予定の学生の本音を引き出すための懇親会や地域への理解を深める職場研修、保養所の利用企画などを設けて辞退抑制に努めている。10月以降、採用活動を続ける企業もあるが、人材確保は大手以上に厳しいのが実情だ。

丸和運輸機関は1日、埼玉県吉川市の本社で内定式を開いた。来春入社の新入社員を160人採用する計画だが、1日時点の内定者は120人にとどまった。これまで約200人に内々定を出したが、約80人に辞退された。人事担当者は「多くの優秀な学生が辞退した」と悔しがる。
(日本経済新聞 10月2日)

内々定を出した学生に辞退されれば人員計画に支障が生じるが、地団駄を踏んだところで埒は開かない。採用は縁である。縁のある学生が入社し、内々定を辞退する学生とは縁がなかったと割り切る以外にない。

縁のある学生とは、今の会社の状況に合致した人材である。それをはるかに上回るような学生は、いくら会社が欲しくとも、縁がないのだから辞退されてもやむをえまい。採用は縁と思って、目標数に到達しなければ人事担当者の評価を下げるというような無謀な措置に走らなければ、オワハラも発生しないだろう。

そもそも内々定の辞退は、道義に反する行為ではない。会社からのプレッシャーがどうであれ、辞退を申し出た学生を怒鳴ったり、説教するなどは愚の骨頂である。意中の人に別れ話を切り出されて、激情的になるのに等しい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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