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厚労省、看護・介護離職者の人材バンク創設

厚生労働省は離職した看護師や介護福祉士を登録する人材バンクを作り、将来、復職しやすい環境を整える。看護師は10月から、介護福祉士は2017年度から離職時に氏名や連絡先などを届け出る努力義務を課し、届けた人に研修会や求人情報などを送る。団塊の世代が75歳以上になり看護・介護の人材不足が深刻になる25年に備え、離職者を勧誘し人手不足を補う。
政府の試算では高齢化が加速する25年には看護職員が3万~13万人。介護の人材は約38万人不足する見通しで、財政負担も重くなる。この「2025年問題」をにらみ、資格を持ちながら職場を離れている看護師や介護人材の復職を後押しする。
(日本経済新聞 8月29日 )

厚生労働省が地域包括ケアシステムの構築を進めているが、介護施設の主治医を引き受けている医師は「訪問するたびに職員が入れ替わっていて、医師との連携をゼロから説明し直さなければならない。地域包括ケアは本当に実現できるのだろうか?」と疑問を語る。
介護業界のシンポジウムなどでは、多くの事業者が「地域包括ケアへの貢献」を表明するが、足元はそれどころではない。看護師についても同様で、厚労省が在宅医療のインフラとして増設を急ぐ訪問看護ステーションに、思うように看護師が集まっていない事業所が多い。
人材を確保できなければ事業所が困るだけではない。介護と看護のインフラが整備されなければ、国民も困るのである。介護事業所や看護事業所を医療機関と同様に、生活インフラとして強化しないと高齢者は安心して暮らせないだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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