Talk Genius

人と会社と組織を考えるニュースマガジン

来春卒業大学生の内定率70%――解禁日前の選考が影響か

来春卒業予定の大学生の就職活動は、ヤマ場を越えた。少なくとも1社から内定を得た学生は8月15日現在で、全体の70・6%に達したことが分かった。
就職情報会社リクルートキャリアが27日発表した。多くの企業が8月1日の採用面接の解禁前に選考活動を行ったためとみられる。今年から解禁日が繰り下げられたが、見直しを求める声が企業、学生の双方から出ている。
企業から内定を得た大学・大学院生の割合を示す内定率は、面接解禁日の8月1日現在は65・3%だった。半月で約5ポイント増えた。
昨年の解禁日の4月1日(18・5%)と比べると、内定率は3倍以上に達している。今年は面接解禁日が「4年生の8月」となり、昨年よりも4か月遅くなった。解禁日まで待てない企業の「抜け駆け」が増えたとみられる。(読売新聞 8月28日)

新卒採用が売り手市場に転じてから、内定辞退に翻弄される中小企業が後を絶たず、人手不足が成長の足かせになりかねない。一方で人員確保に焦るあまり給与を弾んでしまうと、人件費倒産のリスクに直面しかねない。
ますます大手との格差が開いてしまう勢いだが、多くの新卒者が正社員に就けなかった就職氷河期に比べれば、状況はマシかもしれない。非正規社員で社会人生活をスタートすると正社員への道がなかなか開けず、不安定な収入から結婚にも踏み切れなくなり、その弊害は少子化にも行き着く。
恋愛観や結婚観の変遷も独身中年を増加させた背景にあるが、正社員化が促進されれば、結婚は増えるだろう。少子化対策のひとつは正社員化の促進である。その意味で売り手市場がつづくことは、少子化対策にとっては好ましい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

この著者の記事を全て見る

Talk Geniusとは-

ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。