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地銀の取締役、社外が2割――金融庁調査

地域銀行で社外取締役の選任が進んでいる。金融庁の調査によると、今年7月時点で全国106行の地銀の取締役のうち、社外取締役の占める割合が2割近くに上昇した。大手銀行などと比べるとなお水準は低いものの、人口減少などで事業環境が厳しさを増すなか、外部の知識や経験を経営に生かそうとする動きが広がっている。
金融庁が年1回まとめる「金融モニタリングレポート」で明らかにした。レポートによると、地銀全体の取締役1122人のうち社外取締役は207人で18%、昨年7月時点から7ポイント上昇した。内訳は地元企業の経営者が23%と最も多く、金融機関出身者の16%、弁護士・法律専門家の14%が続いた。
(日本経済新聞 8月8日)

社外取締役の経歴について、学者や元官僚など経営経験のない人材は適任でないという見方があるが、人材スペックはケース・バイ・ケースである。事業会社と金融機関では異なるだろう。
金融機関の再建で実績のあるコンサルタントによると「金融機関の経営に関わるには銀行法や金融商品取引法だけでなく、金融庁の考え方にも通じていなければなりません」。となれば、当局から天下りを社外取締役に受け入れる人事は、必ずしも好ましくないとは言い切れない。退職金をもらい歩く“渡り”に利用されないように措置すればよいのだ。
厚生労働省管轄の財団法人理事長は「天下りのほうが厚労省との折衝に役立ちます。ただ、天下りのポストが指定席になってしまうのはマズイですね」と話す。天下りに対しても例外なく信賞必罰で処遇するのが筋だが、当局に対しては、心理的に難しいだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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