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定時退庁は65%どまり――国家公務員「ゆう活」

国家公務員22万人を対象にした朝型勤務「ゆう活」の開始から1カ月が過ぎた。安倍内閣が掲げる「働き方改革」の目玉だが、国会が9月27日まで大幅延長された影響などで仕事量は減らず、職員の評判はいま一つ。このままでは「かけ声倒れ」に終わりかねない。
7月のある日の厚生労働省。午後5時半を過ぎてもパソコンに向き合う職員は多い。30代男性は始業時間を繰り上げ、午後5時15分に退庁する計画を立てたが、勤務記録には初日の7月1日から残業を示す「×」が並ぶ。
ゆう活は7月と8月の勤務時間を1~2時間早める取り組み。内閣人事局によると、7月1日には中央省庁職員の6割に当たる約2万3000人が参加したが、定時退庁は65%にとどまった。
(毎日新聞8月1日)

開始1カ月で、しかも国会会期中となれば、定時退庁が65%でもやむをえまい。開始半年後、1年後と経過するうちに徐々に浸透するのだろう。国家機密を取り扱う業務だから、民間企業と違って在宅勤務もなく、退庁できれば、あとはオフタイムに入れるはずだ。
民間企業も定時退社を推進してはいるが、抜け道を探る企業も少なくない。とくに目につくのはベンチャー企業で、研修や勉強会を定時以降に開き、「これは自己啓発のための時間だから業務ではない」という理屈をひねり出し、残業代を支給しないのである。
法的にはクロだが、労働基準監督署によっては「研修参加は自主的な行為」という理由で見逃す例もあるらしい。クロかシロかという以前に、そもそも発想が姑息なのだが、経営者の処世観に由来するので如何ともしがたい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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