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役員と従業員の年収格差広がる

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報酬を1億円以上もらう上場企業の役員は400人を超え、高額報酬を受けとる役員とその企業の従業員との年収の差は年々広がる。役員報酬は好業績を反映しやすいが、企業はコスト増につながる従業員の年収アップには慎重なためだ。役員の巨額報酬への批判もある米国並みに差が開く日本企業も、出てきそうだ。

今年3月期の報酬が初めて10億円台にのった日産自動車のカルロス・ゴーン社長は、6月23日の株主総会で「役員報酬に相当な投資をしないと、競争力を保つのに必要な人材の採用や確保ができない」と理解を求めた。

従業員の平均年収の約20倍にあたる2億円超の報酬を得た大手金融会社トップは「社員の給料も業績に連動している。役員の貢献に報いる仕組みも、企業の収益力を高めるために必要だ」と話す。
(朝日新聞デジタル 7月26日)

金銭が仕事のエネルギーであることは間違いないが、高額な報酬に釣られて移籍する人物は、もっと高額な報酬を提示されれば、そちらに移籍してしまうものだ。いくら高邁な動機を述べようと、壮大なビジョンを掲げようと、しょせん人生カネなのである。

しかし、これはひとつの生き方だから、けっして眉をひそめるべきものではない。皆が皆、使命感をもって利他の心を発揮していたら、世の中のバランスがとれない。雑種社会でよいのである。

金の亡者が蠢くからこそ、真っ当な経営が範となるケーススタディが成り立ち、襟を正す人間が続くのだ。いつの時代にも反面教師の存在は欠かせない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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