Talk Genius

人と会社と組織を考えるニュースマガジン

小僧寿しの下社長、強制執行妨害で逮捕――警視庁

差し押さえを妨害する目的で財産を隠したとして、警視庁は、すしチェーン「小僧寿し」(東京都中央区)の元社長で米国弁護士の大西好祐(こうすけ)容疑者(51)=住居不定=を強制執行妨害目的財産損壊等(財産の隠匿)の疑いで逮捕し、9日発表した。「妨害をする意思はなかった」と容疑を否認しているという。
捜査2課によると、大西容疑者は社長に就いていた昨年1~5月、住んでいたマンションの賃料や個人的な借金など計約9千万円の債務があるとして、東京地裁から差し押さえ命令を受けた。債権者に対しては「役員報酬はない」と説明していたが、5月中旬に役員報酬として4500万円を会社の経理担当者から自らの口座に振り込ませ、うち4400万円を引き出して差し押さえ対象の財産を隠した疑いがある。
小僧寿しによると、役員報酬の振り込みは、担当の総務人事部を通していなかったという。
(朝日新聞デジタル 7月8日)

スケールはまったく違うが、イトマンの資産を流出させて破綻に追い込んだ仕事師たちの手口を連想させる事件だ。警察発表をベースに報じられた第一報だけでは何ともわからないが、小僧寿しに大西容疑者の行為を阻止できる役員がいなかったのだろう。
赤字続きの会社に米国弁護士の肩書きをもって社長に就任した時点で、他の役員たちは位負けしてしまったのかもしれない。新社長がたとえ外食産業の素人でも、産業界では格上と思い込んでしまったら、プロパーたちは思考停止におちいりかねない。
この事件から、小僧寿しは大西容疑者の“身体検査”をせずに社長に迎え入れてしまったことが明らかになった。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

この著者の記事を全て見る

Talk Geniusとは-

ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。