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インターンシップ参加学生は採用で優先?

インターンシップに参加して優秀さを発揮した学生は、新卒採用の選考で有利になる――。経団連が唱える指針とは異なり、水面下でそう考えている企業は少なくないようだ。経団連を慮ってアエラムック教育編集部の独自アンケートには明記できない企業の「本音」が、ここにあるのだろう。
大手保険会社の例を挙げる。この会社ではエントリーシートや面接など、内定に至るまでに「関門」がいくつもある。その各段階で、「下位の1割ぐらいは、だれを通過させるか迷ったらインターンシップに参加して『実力』がわかっている学生を優先的に選ぶ」(採用担当)と明言する。
別の有名企業では、選考中の学生を「インターンシップ組」「リクルーター組」「その他」と三つに分けて管理するという。
(週刊朝日 7月17日号)

新卒者は採用してみなければ当たりか外れかわからない。まして3年後までにどれだけの新卒者が在籍して、戦力へと成長するのかがまったく不透明な時世になった。だから歩留まりを試算して多めに採用せざるをえないのだが、これが採用コストを重くしてしまう。
その点、インターンシップ参加者は適性が見えている分、企業にとっては早期退職リスクが低く、戦力化への目途もつけやすい。安全パイなのである。
しかし一方で、インターンシップ制度は企業の実態を見せてしまうので、いまの世間慣れした学生ならマイナス要素も見抜いてしまうだろう。社内の空気を健全化させ、人手不足を解消するには、インターンシップ制度によって衆目にさらされることは好機かもしれない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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