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「学歴フィルター」に就活生が戦々恐々

就活生の多くが気にしているのが、「学歴フィルター」だ。新卒採用をしている企業が特定の大学以外の学生を、事実上選考の対象から外すというもの。その存在自体は就活生の間で周知の事実ではあるが、基準は企業によって異なり、実態はなかなかつかめない。学生は戦々恐々とするほかないのである。

現在法政大学に通う4年生のAさんは「MARCHの中で法政は評価が低めというのが学生の認識。超大手企業の内定はそもそも期待していない」と話す。関東以外の人にとっては耳慣れないかもしれないが、「MARCH」とは首都圏の有名私立大学5校を指した略語で、M=明治大学、A=青山学院大学、R=立教大学、C=中央大学、H=法政大学、からそれぞれ頭文字を取っている。

Aさんも「学歴フィルター」を強く意識する就活生の一人だ。フィルターの在り処を知りたい―。Aさんの友人は、とある超大手企業の応募用アカウントを二つ作った。一つは法政大生として、もう一つは「格上」の慶応義塾大学の学生を装って。すると、法政で登録したアカウントのほうが、会社説明会の予約開始時間が遅くなったという。
(東洋経済オンライン 6月22日)

経営者も採用担当者も等しく「学歴は関係ない。人物重視である」「大学の偏差値よりも地頭を問う」などと口にするが、現実はそうではない。入社してからは、たしかに学歴でなく実力で昇進昇格を実施しないと、企業の盛衰にすら影響するため、いまどき学歴で昇進昇格に格差の開く企業はごく一部にすぎない。

だが、採用時に未知数の学生をふるいにかけるには、筆記試験と面接以外にも基準がほしいのが実情だ。それが学歴である。学歴でふるいにかけることの良し悪しはともかく、それが現実だ。

最近、伸び盛りのベンチャー企業を2社取材する機会があった。1社の社長は最終学歴が高校卒、もう1社は高校中退だった。2人ともイケイケ系の人物でなく、頭脳明晰で風貌にも知性が漂い、物腰も紳士的だった。ビジネス界の実力は学歴とは関係がないとあらためて実感したものだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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