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規制改革会議、「金銭解雇」年内検討開始を答申

政府の規制改革会議(議長・岡素之住友商事相談役)は16日、経済成長に向けた規制改革策をまとめ、安倍首相に答申した。

裁判で解雇が不当だと認められた際に、労働者が申し出れば金銭補償を受け取って退職する「解雇ルール」について、労使や法曹関係者らで構成する有識者会議を設け、年内に検討を開始するよう求めた。労使の選択肢を増やすことで、速やかな解決を図る狙いがある。
(中略)
金銭補償による解雇ルールは、初めて答申に明記された。解雇を巡る裁判所への提訴は2013年で966件で、解雇無効の確定判決は195件に上る。ただ、裁判で不当解雇と判断されても、職場にいづらくなって離職せざるを得ないケースが多く、新たなルールには、こうした「泣き寝入り」を防ぐ効果も期待されている。経営者側にも解雇紛争の決着の仕組みを明確にできるメリットがある。
(読売新聞 6月16日)

泣き寝入り防止策としては有効な案だろう。解雇紛争で企業側は金銭補償そのものを惜しんでいるのでない。不当解雇という不当性の認定による企業イメージの毀損を怖れて、突っ張り続けるのだ。

規制改革会議の案は紛争解決の早期化を狙っているが、企業によっては不当性を正当性にすり替える論理を巧妙につくりあげ、金銭解決すらあきらめさせるケースが出てくるはずだ。

企業イメージを毀損させず、1円の支払いもさせないことは、企業側の弁護士にとっては腕の見せどころでもある。ビックリするようなノウハウが開発されるかもしれないが、生産的ではない。そもそも不当性の疑念が生ずるような行為を慎めばよいだけのことだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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