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介護大手各社、介護福祉士の賃上げへ

介護大手各社が専門性の高い介護職員を確保するために実質的な賃上げに乗り出す。最大手のニチイ学館は6月から専門資格を持つパート・アルバイトに手当を初めて支給する。ベネッセグループは資格手当を5倍に引き上げ、有資格者の人数を2倍に増やす。国の政策変更で認知症や要介護度の高い高齢者の受け入れを増やすことが経営上の課題になっており、対応できる人材を賃上げで囲い込む。

介護各社は高齢者向けサービスの大半の対価を介護保険制度による介護報酬から得ている。国は社会保障費の膨張を抑えるため、4月に介護報酬を平均で2・27%引き下げたが、認知症や要介護度3~5の中重度者の高齢者を多く受け入れる能力を持つ事業所に対しては、目減り分を取り戻せる仕組みを拡充した。
(日本経済新聞 6月7日)

介護福祉士の供給源となっていた専門学校に、定員割れに苦しむケースが続いている。介護報酬に盛り込まれた多くの加算用件に、有資格者の配置という体制整備が明記されているが、多くの介護事業者は新たな介護福祉士の採用をあきらめ、スタッフに資格を取得させる流れに入っている。

関東近郊の専門学校では、地元の高校で開かれる進路説明会への参加を断わられたという。同校の職員はこぼす。

「参加希望者がいなくなったからです。進路説明会という場が絶たれてしまったら、専門学校として生徒募集を阻止されたようなものです」。

職場が過酷で低賃金――この情報を前にして、介護職の社会的使命などをいくら説いても無力なようだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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