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シャープ退職者を続々雇用するアイリスオーヤマ

先月14日、国内で3500人規模の希望退職を実施すると発表したシャープ。その退職者を、生活用品メーカーのアイリスオーヤマ(本社・仙台市)が虎視眈々と狙っている。同社はシャープ退職者の労働市場への流出を見越し、大阪市の家電開発拠点で来年までに最大70人の技術者を採用する計画だ。日用品大手として成長してきた同社が、シャープ退職者に熱視線を送るのはなぜなのか。

「この機をとらえたい」。取材に応じた同社の大山繁生常務取締役研究開発本部長(62)が、穏やかながらはっきりとした口調で述べる。同社は昨年、大阪市中央区に9階建てビル1棟を取得し、関西での家電開発拠点「大阪R&Dセンター」を拡充した。「ハコはできている。優秀な人材を入れたい」と、来年中に同センターの技術者を現在の約30人から100人まで増やす計画を描く。
(THE PAGE 6月1日)

経営悪化に瀕する大手企業では経営陣の手腕に欠陥があるのであって、社員の質は廃れていない。負け癖がついてしまい、意気消沈しているきらいはあるが、磨けば再生する人材はいくらでも在籍している。シャープが人材の宝庫として草刈場になるのは当然である。

巷間、大手企業出身者は看板と経営資源を手放したら使いものにならないと決め込む向きが少なくないが、これは俗説にすぎない。そうした過去形の人物もいることはいるが、相応のスキルを体得している人物も多いのだ。

アイリスオーヤマがシャープ出身者の雇用をつづけるのも、採用後に期待に違わぬ力を発揮しているからではないのか。チャンスを与え、自信を取り戻させ、最盛期の勝ち癖を呼び覚まさせればよい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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