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今春の新入社員は「消せるボールペン型」

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毎年、新入社員の特徴を物などに例えている「日本生産性本部」(東京都渋谷区)は24日、平成27年度の新入社員について、柔軟性を持つが、厳しい指導には耐性が低い傾向にあるとして「消せるボールペン型」と名付けた。
 同本部は今春の新入社員について、現役生なら東日本大震災直後に大学に入学しており、ボランティアなど状況の変化に対応してきた世代と分析。「見かけはありきたりなボールペンだが、機能は大きく異なっている」とした。
 一方、消せるボールペンは高温下で文字が消えることになぞらえ、上司が熱血指導すると、個性を失い、離職する危険性をはらんでいると指摘。同本部は「若いうちは何度も書き直しができると思い、チャレンジしてほしい」。

その昔「指示待ち世代」と呼ばれた新入社員たちは、いまでは50代後半にさしかかり、多くがセカンドキャリアに入ったか、あるいは模索中である。指示を待っていたのは20代後半ぐらいまでで、あとは世代論とは無縁に、それぞれの職場の風土に従って働き続けたのだ。

「消せるボールペン型」というネーミングには、体育会気質を忌避する世代という意味も含まれているのだろうが、これは昔からそうだった。体育会気質を好む社員は一部で、体育会気質にあふれた会社に入社した社員の多くは、しぶしぶ組織風土従っていたのである。

ところが、いまでは熱血指導による言動が行きすぎると「パワハラ」と糾弾されるようになった。熱血指導にはらむバイオレンスな要素が否定される時代になったのだ。ベンチャー企業には「夢」「使命」「思い」などを連呼して士気を高揚させる例が後を絶たないが、どうにも無理があり、やがて息切れしてしまう。職場の温度は適温がよい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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