Talk Genius

人と会社と組織を考えるニュースマガジン

シャープ、社員の賃下げへ本格検討

20150410

シャープは18日、社員の賃金を減らす方向で本格検討に入った。テレビや太陽電池事業などの不振で2015年3月期連結決算で2500億円に迫る最終(当期)赤字を計上する見通しとなったためで、削減幅は数%になるとみられる。5月中旬に発表する中期経営計画で明示し、できる限り早期に実行する。
 同社は18日午前、15年春闘で労働組合に対し、定期昇給を凍結せず、賃金体系を維持すると回答。夏のボーナスについては、14年夏・冬の2カ月分から1カ月分に半減するとした。だが、賃金削減を中期経営計画に盛り込むことは避けられない状況で、今後、構造改革とセットで賃金の削減幅を詰め、改めて労組に提案する。
 12、13年3月期には2年間で計9200億円超の最終赤字を計上して経営危機に陥り、12年4月~14年3月に管理職の賃金を5~10%、一般社員の賃金を2~7%削減。2年間で人件費を計388億円減らした。14年3月期には最終黒字に転じ、14年4月からは賃金削減を取りやめていた。(毎日新聞 3月18日)

大手製造業の賃上げニュースが続くなかで、シャープの賃下げは暗いニュースだが、それでも中小企業に比べれば悲嘆するような内容ではない。賞与も削減されるとはいえ、支給されるだけ御の字だ。
賞与を織り込んだ住宅ローンを組んでいる社員にとっては生活設計が狂ってしまうが、収入減を想定した生活設計は収入リスク管理の第一歩である。

本来、社歴を重ね、昇進昇格にともなって給与も上昇すべきだが、国内経済は成熟期に入り、人口減少とともに衰退期に入っていく。人件費の財源も縮減せざるをえないのだから、右肩上がりの給与を前提とした生活設計は、もはや成り立ちにくくなった。

さて問題はシャープの役員報酬である。社員の平均給与よりも下回っているのが道義だが、どうなっているのだろう?

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

この著者の記事を全て見る

Talk Geniusとは-

ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。